彬義ワールド 公園 大人篇37
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2016.11/30 (Wed)

公園 大人篇37

Part.37

相変わらず加賀のランチタイムの開始時間は早い。
上司に呼ばれ、受け取った書類を届ける。
エレベーターで会社ロビーに降りた。
護は入口近くのソファに座っている。

加賀を見る目がどこかそわそわうきうきしている。
あの目はいつからか。
たぶん数日は経過している。
バレなければやり続け墓場まで持っていくだろう。
護はそういう性格をしている。

加賀はスーツを指差し、ジェスチャーでやったなと断じる。
途端に護は悪戯を見つかった子供らしく喜悦を滲ませて面映ゆい表情を浮かべる。
見つかったことは嬉しくもあり、相手の機嫌も気になるものだ。
瞬きすると笑みを消した護の視線が加賀の真意を真剣に探る。
「こんな手間の掛かること良くしたな。」
加賀は直球で話した。
言葉を飾って話が反れてはならない。
「せやかて聞いたら、吊しでええ言わはるやろ。」
護は瞳に不満を宿す。
長身でスーツ向きのスタイルをしているのにもったいない。
窓から見下ろしている時からずっと思っていた。
「当然だ。」
加賀は憮然と応える。
人には不相応というのがある。
一介のサラリーマンのスーツは吊しで充分だ。
加賀はテーブルに乗せてあるお弁当の入った手提げを手に歩き出した。
まだ計りかねてるのか。
いつものように半身を預けて来ず、加賀の袖口を指で掴む。
その指先が異様に冷たかった。
加賀は肩の力を抜いた。
「吊しのレプリカなんか仕立てる方に手間のかかる申し訳ないことを。」
トーンを変えて加賀は理解を即すように言葉を重ねる。
「手間やないて。レプリカ提案したん三倉はんやもん。」
なんとなく流れの察しが加賀につく。
加賀が服に無頓着だと仕立て屋の三倉に護が相談。
それに対しての提案となれば、結局は共犯者ということか。
「今度連れて行け。」
「ええ~なして」
怒るんか?護が加賀に疑惑の目を向ける。
「一流の技術者にもったいないことさせて俺が気付くまで続けたろ?」
護は力強く頷いた。
「こっちゃのほーが絶対にええもん。そりゃ仕方あらへん。」
護は力強く断言する。
完全な確信犯だ。

机で確認した時、レプリカにも吊るしと似たタグが付いていた。
吊しと全く同じことが書かれているのだろうが。
吊るしの時に気にしてないので、一字一句は比べられないが。

その文字は印刷じゃなく、刺繍であった。
確かに護の無理な依頼なら、ここまでこだわれないだろう。
「連れて行け、お礼を云わねばならん。」
「ほな、わっかりやしたぁ、すぐ取りま」
納得して明るく言いながら、護は加賀の膝枕に寝転がる。

変わらず瞬眠だ。
憂いなく安穏とした眠りに身も心もゆだねている。
加賀は慣れたもので取り落としても護に当たらない位置でスマートフォンを使う。

昼休みが終わり、護はいつものように加賀に半身を預けてくる。
ぴたりと寄り添って歩く。
その方が加賀の影に隠れて護が目立たない。
分かれ道で左右に別れた。

加賀は会社に行き、仕事。
護は気分で行動するのもあり予定はまちまちとなる。
浅野教授の授業で遅いと言っていて教授に楯突き早く帰宅したり。
大学の楽器室で没頭し過ぎて遅かったりと予定は予定でしかない。

護は加賀に昼に言った通りにしようと護なりに孤軍奮闘した。
それがストレスになる前に加賀はそこに気付いた。
予定は決まってれば言って良いし、それも変更があればメールすれば良いと二人のスケジュールの約束となっていた。

せっかちな護が発動したのだろう。
退社時間近くに、駐車場で待ち合わせのメールが来る。
会社を出る時にメールすると返信した。
退社時間になって仕事を片付け、メールしつつエレベータら乗る。
歩いて帰宅する。

12/16







下記から元ブログ
11/22にPart.28をアップしました。
朝にFC2小説にアップする時にちょっと改訂しました。
ちょっとだけですが、ブログと小説が改訂前後になっております
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