彬義ワールド 公園 大人篇34
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2016.11/27 (Sun)

公園 大人篇34

Part.34

新しい理論へと突入した。
教授の課題メモに従い、教科書を開き読み始める。
文字が頭に入らない。
何度も頭から読み直す。
これまで積み上げた理論で応用できないか模索する。
不可能だ。
言葉がすんなり入れば造作もないのに。
護の頭は白い靄がかかっていく。

こうなると何度も何度も繰り返して読むしかない。
独りぼっちの心地で途方に暮れる。
見えるところに加賀が居ても孤独だ。
心が寒い。
護は湧きあがる涙をどうすることもできない。
瞳いっぱいに涙を浮かべた。

恨めしそうに加賀を観ていた。
何の罪もない加賀が視線を感じたらしく振り返る。
表情を変えず加賀が立ち上がった。
目の前に立つ。
ますます腹立たしくなり濡れた瞳を怒り目にして加賀を見上げた。

涙目で怒られても恐さは皆無だ。
加賀は護の手を取り、立たせた。
口をへの字にして不機嫌だが素直に動いた。
手にしている教科書を加賀が手にする。
ベッドボードを背に加賀が座り、その足の間に護を座らせた。
身長差があるので護の頭が加賀の顎の下に無理なくはいる。
「う~」
悔しそうに護はぽろぽろと涙を流して嗚咽する。
すんなりと入ってこないのが判りすぎるほどわかっている。
それでも越えなければ進まない。
自身の能力の限界がもどかしい。
加賀は護を抱き締めてやるしかできない。

涙は沈静効果を持つ。
ひとしきり泣いた護はしゃくりあげながらも落ち着いてくる。
加賀はポストイットが貼られた頁を開いた。
濡れた瞳で読めないであろう護に読み聞かせ始めた。
護は瞳を伏せて静かに聞いている。
「もっかい」
センテンスを読み終えると護がぽそりと言った。
加賀は望まれるままに頭から読み返した。
10回ほど繰り返した頃だろうか。
「わかった そぉか そうなんや」
頬を紅潮させ護は加賀の腕の中で喜びを爆発させる。
「わかるで あんさんのお陰や」
飛び起きると机に向かう。
レポート用紙に勢いよく書き始める。

「な」
ほどなく所在なさそうに護は戻って来る。
本を手にしている。
加賀は前をあけた。
護はにっこりと目元を涙で赤くしたまま加賀の前に座った。
胸元に寄りかかる。
「ここ」
頁を開いて渡す。
加賀は朗読を再開する。
何度も繰り返しをせがみ護は理論を理解する新しい方法に気付いた。

何日、何十日かかるのだろうと険しい道に戦々恐々としていた護は思い当たり立ち上がった。
「何度も読ましてごめんな」
護がボイスレコーダーを持ってきた。
「次のとこ」
本を加賀に手渡す。
「なるべく聞こえないようにしたほうが良いか」
今のレポートに影響しないか加賀が尋ねる。
「集中してるから大丈夫や」
「そうか」
加賀はボイスレコーダーに次の理論を吹き込んだ。

「ありがと」
レポートを書き終えた護はボイスレコーダーを受け取り、机に戻る。
日曜日の昼下がり。
加賀は立ち上がり、タオルを濡らして戻ってくる。
涙の跡が引かない護に手渡す。
イヤホンで加賀の朗読を聞いている護は白い歯を魅せ笑う。
受け取って目に当てる。

「あーあかんっ」
護がボイスレコーダーを投げ捨てた。
「頭に入ってこーへん」
護は地団駄を踏む。
「本持ってこっち来い、誰も読みたくないって言ってないだろ」
加賀は手招いた。
首を縦に頷き、護が本を手に戻って来る。
「お腹空いてないか?」
「空いてる」
「一度、休んでごはんにしないか」
「する」
空腹でテンションが落ちてるのもあるのだろう。
「待って」
ベッドに座ったままの加賀に護は上から抱き付いた。
加賀にぎゅっとしがみつく。
「うん、落ち着いた」
なん呼吸か加賀を抱き締めて繰り返し気を落ち着ける。
「行こ行こ」
言いながら洗面に向かい
「あ~」
涙目を確認して叫ぶ。
「車で行こ」
冷やしたタオルで目元を冷やしつつエレベーターに向かう。

昨日ほど遠出ではないが、隣町のカフェに向かうことにする。
2人はエレベーターで地下に降りる。

冷やせば、カフェに着く頃には護の目元も元通りになってるだろう。
加賀は護の整った横顔を眺めた。


11.27 元ブログです↓
自己ノルマからするとおそおそです
Part.23アップしました。
上の11/18クリックしても飛びますって、あっ 下書き外してない。
今、外してくるわ

19日にPart.24アップ
朝はお雑煮を食べた。
 お雑煮と言っても永谷園の松茸の吸い物に焼いた餅をいれるだけ。
 これがなかなか美味い(笑)

20日にPart.25アップ

FC2小説に上記を全部アップしました。

21日にPart.26アップ
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