彬義ワールド 公園 大人篇31
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2016.11/25 (Fri)

公園 大人篇31

Part.31

明け方にベッドに入れた護は昼下がりまで時折り瞳を開いても覚醒しきれず微睡むを繰り返す。
加賀も文庫や雑誌を読んでベッドで過ごす。

月曜日から会社だと思うと自宅で過ごしていた週末も似たりよったりだ。
休日は怠惰に過ごし英気を養う。
朝食を食べずに付き合ったが流石にそろそろ限界だ。
加賀は起きてシャワーを浴びに行く。
戻ると護は起きていた。
加賀が居ないと目が覚めてしまうのは相変わらずだ。

「課題は?」
加賀は護の予定を尋ねる。
「たんまり仰山と。永遠に終わらんと思うわ。先にカフェ行こ」
護は机の上の積み重なった課題を軽く睨む。
あれを片付けたところで教授に次の山を渡されるに過ぎない。

着替えを済ませている護は加賀の着替えをソファに座り待っていた。
小部屋から出てきた加賀に合わせてエレベーターの前に立つ。
「車?」
加賀が尋ね、護は頷いた。
折角の週末はちょっと遠出がしたい。

護は加賀に車の免許があるか聞いた。
あると知ると、どこからか車を手に入れて来た。
加賀が買ったのか聞くと、必要がないと他に置いていたのを持ってきたと言う。
どう見ても真新しい。
車は手続きがあり、行ったその日に持ち帰れるものじゃない。

なんとも魔法のようで要領を得ないが、護の育ちの良さは前時代的高尚さを感じさせる。
護は運転しないのか尋ねると‥護は肩を竦めて小首を傾げた。

本人は無傷で済んでいるが、車を数台クラッシュさせており、免許を取り上げられていると言う。
事故を起こしてるなら、その法的措置は当然だと思うが。
護の話しだと法律は問題なく、家族から止められてるのだと、不満そうに話した。

むしろ数台も壊せるほど家族が良く許したものだと思う。
思いつつ護が本気で欲しいと思い行動したら家族も陥落せざるを得なかったのだと想像に難くない。
それでも数台と続けば、取り上げられて当然だろう。

車をこちらに届けるのは、運転を別な人に頼めるならが条件だと言う。
届いた車を加賀に見せ、護は車の鍵を加賀に渡した。
そう言われて車のキィは加賀が預かっている。

エレベーターの中で護がチェックしたカフェのページが開かれたスマートフォンを渡された。
ここなら高速を使えば一時間かからず行けるだろう。
加賀はカーナビに入れる前に頭の中で経路をシュミレートする。

エレベーターが地下駐車場に降りた。
扉が開き、すぐ目が行くところに車がある。
ホワイトパールのロータスはいかにも護のイメージに合っている。
護を助手席に乗せ、加賀は2ドアスポーツカーのステアリングを握る。

社会人になってから運転しておらずかなり久し振りだ。
プロ入りが絶望視されると加賀はバイトに明け暮れた。
就職先は決まっているから、短期で実入りが良いバイトが良かった。
大学の寮を出て、会社の寮と移行するのは気が進まず加賀は就職と同時に一人暮らしを始めたかった。
その資金を稼ぐ大半が配送業のバイトだった。
飲食業も希望したが、この長身と強面で接客は難しく、裏方となるとバイト先が多くなかった。
実際にバイトをすると性格的に車の運転は苦にならない。

加賀の車は真っ直ぐに地下駐車場の坂を上がる。
スピード感がありながら極めて安定性のある走り。
それは護の理想の走りだ。
車が地に吸い着くような、パックシートに背が圧される高揚感が、正に護がドライブに求めている疾走感で、加賀は的確に車を走らせる。
護はあまりにも願望通りの運転に心が躍った。

護はこの感じを求めて運転し未熟さに、何度、あ、となったことか。
護が追い求めて止まず、自身の腕で叶わなかった走るスリルを加賀の運転だと安全に楽しめる。

週半ば、届いたばかりの車の試運転で最寄りの高速入り口から次の出口まで。ほんの短い間でも楽しかった。

待ちかねた週末、たっぷり眠れ、気分も良い。
護は車窓の景色を眺め、加賀と取り止めのない会話を楽しむ。

12/3



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昨日はアップに至りませんでしたが
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