彬義ワールド 公園 大人篇23
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2016.11/18 (Fri)

公園 大人篇23

Part.23

加賀の勤務時間は九時五時。
子育て中でもなければ、五時に退社する社員は居ない。
加賀も1日の仕事が終わるのは午後七時近くが多い。
早くても午後6時半は越す。
割高な残業代が出るほど残るのは上司に言われる。
、仕事の流れを報告して上司の指示を仰いでからになる。
普段は報告の要らないそこそこの時間でそれぞれが帰社していく。

いつもなら加賀は退社時間に通勤時間を足さなければならない。
午後七時に退社しても、買い物か、外食をして帰宅するのは八時半過ぎる。
今日はそんな通勤時間を考える必要がない。
予定をすべてクリアして机を片付ける。

加賀は仕事を終え、人が半分ほどになったフロアを後にする。
行き交う人に挨拶しつつ、会社を出る。

護との約束を守り、駅まで行かず、目隠しされた自動扉をくぐる。
以前は興味もなく気づきもしなかったスタジオ施設完備のビルだ。

扉をくぐるとそこはロビーフロアになっている。
打ち合わせに使うのかソファセットが点在している。
受付カウンターにフロント係が2人常駐している。
「お帰りなさいませ」
フロントマンの視線が加賀に向けられる。
「お帰りなさいませ、カードキーのご用意ができました。」
一人はこの前いたフロント係だ。
彼がカードキーを手に、加賀をエレベーター前へ誘導する。
「お待たせしました」
カードキーを加賀に手渡す。
「ありがとう」
昼に護が言っていた通りにカードキーが加賀に手渡された。
「カードキーですが、預ける必要はございません。私、フロントを統括しております塚田と申します。
御用の折りは何なりとお申し付けください。ホテル並みのサービスが整っております。」
塚田の話を聞き、加賀は頷いた。

それは建物の豪華さと合致する手厚いサービスだ。
「それにしてもカードキーのご用意を頼まれ安心致しました。お客様の体調に立ち入るのもなんなのですが。
何分にもこれまでにない根を詰められる方で、よほどのことでないとこちらも早々、中を確認が‥」
云い淀み、目線を扉に向ける。
フロントマンとして身体が反応していた。
来客に言葉をつぐむ。
「予約のお客さまだ。それでは加賀様失礼致します。」
丁寧に挨拶し、滑るように離れていく。
ホテルマンとして一流の訓練を受けたのだろうと簡単に推測ができる身のこなしだ。

彼を見送ると、楽器を携えた数人の男性群がロビーに入って来ていた。

加賀は一瞥すると、エレベーターを呼ぶボタンを押した。
来たエレベーターに乗り、カードキーを差し込む。
ランプがグリーンに光り、抜くと、部屋のボタンが光る。

扉が開くと、そこは部屋だ。
一度経験しているのだが。
ホームエレベーターがあるような知り合いがいない加賀にどうにも違和感が否めない光景だ。
エレベーターが開くと廊下というのが定番だ。
首を傾げつつ室内に入る。

「お帰り、済まん今ちょい手が離せへん」
慌てて一瞬振り返り加賀を確認し、嬉しそうに笑顔を魅せつつ、護は急いで視線を譜面に戻す。
思考に手が追いつかないようだ。
一心不乱に書き込んでいる。
時々、喉を鳴らしたり、鼻歌でメロディーが聴こえた。
耳に心地よい旋律だ。
加賀はソファに座り、護の一挙手一投足を観ていた。
それは楽しそうに音と戯れている。


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さてさて
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