彬義ワールド 公園 大人篇18
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2016.11/15 (Tue)

公園 大人篇18

Part.18

加賀は護を起こさないようゆっくりと動いた。
派手な動きでなくとも、何度か向きを変えればなんとか抜け出せるかと試してみたが。
背に回された護の力は意外に強い。
意識がなくとも運ばれている時に落ちないよう無意識にホールドしていたのだろう。

見下ろしてドキリとなる。
護の瞳は開かれているが、鈍い光彩は虚無をはらんでいた。
運動部だった加賀は何度かこの目を目撃したことがあった。
まれに瞳が開かれているが、意識が無いことがある。
護から出逢った当初から眠れないと訴えられ続けていたが。
どこまで踏み込んでよいものやら、加賀は加減が分からない。
今も合ってるか、どうかは疑問だが。
睡眠不足が不調の原因と思われる護をこれ以上、放置できない。
着衣のままは良くあることだが。
靴を履いたままと言うのは初めての経験だ。

心を決めると、靴を脱ぎ捨てつつ、身体を反転させた。
ベッドに加賀も横たわる。
それで護が目覚めれば、一から体勢を立て直せばいい。
護は横になった加賀にピタリと密着すると目を閉じた。

数が多い訳ではないが、一度も彼女がいなかった訳でもない。
似たシチュエーションで相手に腕枕したことはあるが、いつも居心地が悪かった。
どこかに無理をして、最悪は腕が痺れて半日使い物にならなかったこともある。
そんな苦い経験を覚悟しての行動だのに。

これまでで一番長身の護が腕に馴染みが良い。
思えば公園で膝を貸していて、邪魔だと思ったことも無かった。

他人を腕にして、まんじりともできないだろうと思っていたが。
密着する肌の質感が心地良く、ぐっすりと深い睡魔に落ちていた。

バターの香ばしい香りに加賀は目覚めた。
見覚えがない天井に金縛る。
深い眠りから浮上したばかりの頭が働かない。

「おはようさん、朝食べるんやったら、もう起きんと遅刻するで」
キッチンカウンター前の2人用のテーブルの椅子に座りながら護が明るく声をかける。

起きあがると、いつの間にか、加賀はインナー姿だ。
「夜中に目醒めてもうて、服はあっこにかけておま」
加賀の様子に説明する護の指した先に、ハンガーにかけられた加賀の服があった。
クリーニングしたかのようにぴっしりしている。

時間を確認し、加賀は洗面所に行く。
タオルと歯ブラシが用意してあった。
さっぱりし、ハンガーにかけられていた服に着替える。
会社は目と鼻の先だが。
食べる時間を考えれば、急いだほうがいい時間だ。

テーブルに着くと、バタートーストと珈琲が用意してある。
護の前には珈琲カップだけ。
護にしては精一杯の歓待だろう。
トーストを口に運んでいると。
「帰りは何時になるん」
平静を装っているが、それを問う護はえらく緊張している。
「着替えを取って来ないと。」
護の言葉を否定せず、しばらく体調が整うくらいの間、安眠の助けになるなら来てもいいかと加賀は思っている。
もっと早く、昨日のようなことが起きる前に対処できたらと後悔している加賀はそう応えた。
「ほんなら、鍵と住所、今日は講義ないから、俺が取って来たるわ」
護がテーブルの上に手を出した。
加賀は背広の上着から財布を出し、小銭入れから鍵を出した。
その手の上に鍵を置くと、すぐに護は鍵を大事そうに握り締める。
「着替え運ばせてもらうわな」
護は加賀が目の前で打ち込んだ住所の入ったメールを開封して確認する。
安心した子供のようにあどけなく護が笑う。




11/15元ブログ
直近に書いた数本をちょこちょこ手入れ中
今日は夜に、まずルーツを増やしたいけど
大人篇が先の可能性もありかな

どっちやんという感じですが決めかねてます

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