彬義ワールド 公園 ルーツ14
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2016.11/05 (Sat)

公園 ルーツ14

Part.14

エミリオはアンヌマリから弟を抱き上げた。
椅子に座り、膝に抱いた。
シルクレースの産着に包まれ綺麗なウェーブを描く護の黒髪を優しく指で梳く。
指触りが良くエミリオは丁寧に豊かな黒髪を整える。
金色の睫毛は目立たないが、黒々とした睫毛は頬に見事な翳を落とす。
幼いながら黒い瞳も迫力を感じさせ底なしのエキゾチックさに魅了されていた。
弟ではあるが、西洋人が好む東洋の美を凝縮した美麗さにエミリオの興味が尽きない。
成長振りが楽しみで妹ともに毎週の帰国が楽しみになっている。

生まれて間もない護はまだ寝ていることが大半だ。
課題を持って来ればレポートを仕上げる時間はいくらでもある。
エミリオにとっては自家用機で片道二時間の負担は感じられない。
護が生まれてからは家の居心地がいい。

エミリオ達の時は父方の祖父母も同居しており、乳母がいて生まれてすぐ子供部屋を与えられる。
年月が経過し、祖父母は暖かいところが良いと引っ越してしまい、気付くと家族だけとなっていた。
改装し居住区域をしっかり分けたのもあるか。
護は子供部屋を持たず、両親の寝室とリビングにベビーベッドが備え付けられた。
末っ子が生来の甘えん坊なのか、周囲が久しぶりの赤ちゃんに浮足立ってちやほやしているからか。
一瞬でも人の気配がないと探し泣きをして、護は人を呼ぶ。
弱弱しい泣き声を聞いてしまうと、家族の誰もが用を切り上げ慌てて駆けつけてしまう。
抱き上げると濡れた瞳を煌めかせつつ、とても嬉しそうに笑う。
それを見れば用事を切り上げて駆けつけて良かったと思わせるのは魔力に近い。
どうしても外せない用であれば、護を抱いて戻ることになった。

ベビーベッドもよっぽど眠りが深い時でないと使っていないそうだ。
人がいれば機嫌が良く、あんまり泣かない赤ちゃんなので睡眠不足にもならず育てやすいと母は言っていた。

上二人の時には母乳が出なかったというが。
護の時は二か月ほどは母乳で育てられ、その頃はまだ母の神経が尖っていて中々、触らせてくれない。
それでも見ているだけで良く、エミリオはアンヌマリと週末は自宅へ戻るようになった。
毎週家へ戻るは、寄宿学校に行く時の母に許可を貰うときの約束であったが。
あの時はそれは完全に転入する為の方便で。
学校に慣れるまで、勉強がとあれこれと理由をつけてちっとも戻らず母との約束を反故にした。
挙句、夏休みも戻らなかった。
その結果がエミリオ達を自宅へ戻すとは想像だにしなかった。
だが、護が居ると居ないとは大違いで、もし、護がいなければ自身も妹もやはり自宅にはあまり戻らないだろう。

母は父に夢中で、父さえ居れば子供は眼中にない。
あくまで父の代替えであって兄妹の所在は薄かった。
そんな母は弟を溺愛しており、その兄と姉になぜかきちんと目を向けるようになった。
弟が生まれて初めて、エミリオは母に、母なりに愛されていたのだと実感できるようになった。
それは氷解でエミリオは素直に自宅に戻れるようになった。
言葉ではうまく説明できないが、アンヌマリも似たような感覚だと直感できた。
世継ぎという立場でなく、家族になれたという感覚がなんとも心地いい。



前記事は消さず(笑)
週末です ふっふっふっ11/5
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